Miki’s Essay 鈴木みきのカナダのお山へGO! 第8回

「ストラスコナ」取材ウラ話など

(photo:Jun Yanagisawa)

第6回第7回とお届けしたストラスコナは、キャンプを含めて3泊して移動です。このカナダ旅では大きく分けて4箇所を回りましたが4箇所とも同じBC州のなかとはいえ表情はさまざま、特色も異なっていました。今後も1箇所ずつ 移動ごとにアクティビティ以外のその場所全体の印象や特色、取材ウラ話などを含めて「まとめ」をお送りしたいと思います。

(photo:すずき)

さあ、ストラスコナです。
私たちの泊まった「ストラスコナ・パーク・ロッジ(SPL)」はとても面白い場所だったので、もう少しご紹介したいと思います。イメージは「自然学校」、実際アウトドア(自然教育)ガイドを目指している若者を育てるカリキュラムが用意されているので、その空気が全体の雰囲気になっているかもしれません。そこで学んだ方や各国から集まったガイドが宿泊者のアクティビティをサポートしてくれます。彼らの若々しさと逞しさにまず驚きましたが、宿泊者を見渡すと子供から今どきの若者、そして老人までがどこかみんなで学生気分を味わっているように見えたのが印象に残りました。

お部屋も合宿スタイルで、私たちの泊まった部屋は1部屋に2段ベッドと通常のベッドが各1つ、バス・トイレ付き。これが2部屋繋がっていて、玄関は1つとなっていました。広いバルコニーも繋がっています。シンプルで簡素ですが、清潔でとてもいい部屋です。

2階から3階建てのこういった宿泊棟がいくつかあって、バンガロータイプの貸切ログハウスもあるようでした。食事は朝晩決まった時間帯の好きな時間に食堂に行くビュッフェ・スタイルなのですが、基本ベジタリアンフードが並び、お肉が入っているメニューだけメモが貼ってあります。コーヒー等に入れるミルクや砂糖も、豆乳やキビ砂糖がメインに用意されていました。からだを動かしてたくさん食べても気になりませんし、逆に食べ過ぎたと思った翌日にもすんなりからだが動かしやすいように感じました。しかも…美味しい! カナダ在住の男性陣は薄味で少々物足りなさを感じていたようですが、日本からきた女性陣は毎回食事が楽しみでしたよ! ちなみにガイドのロビンは「BBQ肉食べたい」とぼやいていました(笑)。

ロッジの裏山には畑があり、自家栽培した野菜はもちろん食堂のメニューに使われます。足りない分は購入するといったやり方のようです。水も沢からポンプで上げていて、電気も自家発電。設立した52年前からロッジ内での生活が何となく間に合うように作ってきたと聞きました。こういった取り組みもたまたまロビンに尋ねて答えが返ってきただけのことで、「私たちはこんな(いい)ことやってます!」と主張しないあたりに好感が持てます。自然のなかに暮らしていくと、自然の恵みがあるのに電気や水を買うほうに疑問を持ってきます。そして手に収まる程度のもので足りることにも気がつくでしょう。
必要じゃないから無駄なものはいらないし、意味がないと思っているだけのことなのです。私は日頃から、やれロハスだ、オーガニックだと言葉を前面にグイグイ押し出してくるものに嫌悪感を抱いているので、ただ実践しているだけのSPLのスタイルは心地よいものでした。
BC州では水道の水はもともとそのまま飲めるのですが、ここの水は甘くて美味しかった!
しかし、自家発電のパワーは小さいようで、最終日はシャワーも美味しい水でした(笑)。でも、こういうところだから「こういうこともある」と思えるのです。同じ部屋のNさんはお湯が出ないと文句を言うわけでもなく「いやー冷たかったねー」と笑って出てきました。

宿泊者を対象に毎日1~2回、無料のアクティビティも用意されています。参加したければ集合時間に行くだけです。私たちは夕方の「バーノック作り」に参加しました。「バーノック」は先住民に伝わるパンのようなもの。みんなと焚き火で焼いたのですが作り方は簡単! キャンプでお試しあれ!

(photo:すずき)

  1. 小麦粉・油・水を適当に混ぜて耳たぶくらいの固さに練ります。
  2. 長い枝に棒状にくっ付けます。(枝の先の生地は閉じます)
  3. 焚き火で焦げないように焼いていきます。(炎に包まれる人続出!)
  4. 焼けたら枝を抜き、熱々のその穴にチョコチップやナッツ、ベリーなどお好きなものを入れて召し上がれ!(チーズやハム、ハチミツなんかも美味しいと思います)

(photo:すずき)

ロッジの周りには簡単なトレッキングコースがいくつかありました。私たちはロビンに連れて行ってもらいましたが、もちろん自分たちで歩きにいって楽しむこともできます。
「BOG WALK」という名前のコースは1万年前からあると言われる「BOG(沼)」を見にいきます。ロッジの裏手からすぐに登山道を歩き出し、ポイントではロビンが説明してくれます。濡れていても火がつく木とか、針葉樹の見分け方など面白いことばかり!
目指していたBOGには木道がありました。一見すると湿地のようですが、説明するために土に差してある枝を抜くと…出るは出るは、それは枝ではなく幹!「底なし沼かもねん」とロビンがフフフと笑います。木道がけっこう細くて私は落ちるまいとよそ見ができませんでした。

(photo:すずき)

さらに登っていくと、BOGを見下ろす展望地に出ました。こうしてみると私たちが歩いた木道は沼のほんの一部です。その向こうにはキャンベル・レイク、昔は沼も湖の一部だったのかもしれません。 いずれ干上がるといわれている湿地や沼ですが、この先また湖になることだって考えられます。私たちが生きている間にそれを確認することはできないでしょうが、地球は今までそんなことを繰り返しこの風景を今私に見せているのです。人間の引っ掻き傷は少々見苦しさも感じますが、これがほんの一瞬の今なのです。

(photo:すずき)

クレスト・マウンテンに行く前もカヌーのピックアップポイントで「Lupine Falls Trail」という短いトレイルがあったので寄り道。駐車場からほんの5分程度で綺麗な滝が現れます。こういった車をちょっと 停めて数十分で歩くようなトレイルは良く整備されていて本当にたくさんあるのです。こういう気軽なビューポイントに立ち寄りながら、旅行者は長い距離を車で移動していくようです。なにしろ郊外は信号もなく渋滞もない、気が付くと相当な距離を運転しているなんてことはザラです。いい休憩にもなりますね!

(photo:すずき)

ストラスコナははじめに抱いていた「アウトドアinカナダBC州」のイメージに一番近い場所だったように思います。人によって抱くイメージは違うと思うのですが、私のイメージは「手付かずの自然と人力」だったので、無人島でのカヌー&キャンプはイメージのそれと近く、強く印象に残っています。ただ、これを自分で手配するとなると手間隙はもちろん語学力も必要です。海外アウトドア旅に慣れた人なら当たり前のことかもしれませんが、個人の旅行者がするにはなかなか大変かもしれません。私たちの泊まった「ストラスコナ・パーク・ロッジ」のようなアクティビティ重視の宿泊施設を利用したり、旅行代理店に(手配と送迎だけでも)アレンジしてもらうのも手です。

とりあえず、ストラスコナ州立公園内を自力で移動する手段は車しかありません。レンタカー(もしくはカヌー?)は必須といえます。地図を見ると公園内には宿泊施設もないようです。しかし、車があれば宿泊施設のある町まで1時間から数時間なのでそこを拠点にすることは容易です。
公園周辺にはテントサイトがたくさんありますから、テントでキャンプしながら移動(旅)をするには事欠かなそうです。

私もまだ全部を見て回ったわけではないですが、バンクーバーから3~4時間で飛び出せるこういった州立公園は、短い期間でワイルダネスを少しかじりたいという旅行者には好立地といえるのではないかな。なにしろこの旅で日本人がいなかったのはここだけ! 私にとってはそれがワイルダネスでしたし、海外に来たという充実感がありました。

カナダ到着から3日目にして国土や州立公園のスケールの大きさに早速「手に負えない」と思い始めた私です。なんといえばいいのか、カナダの自然には広がりを感じるのです。目に見えている範囲はどこに行ってもさほど差がないはずなのですが、その向こうに延々と途方もなく繋がっていく広さを感じます。しかもストラスコナはバンクーバー島のほんの一部、本土でもなく島なのに…。
カナダ旅、始まったばかりです。

鈴木みきプロフィール

鈴木みき
1972年東京生まれ。
山梨県・八ヶ岳南麓在住。
イラストレーター
24歳の時のカナダ旅行をきっかけに山にハマり、登山雑誌の読者モデルや山小屋アルバイトを経て、登山系イラストレーターとなる。

著書

「悩んだ時は山に行け!」
(平凡社)

「あした、山へ行こう!」
(講談社)

「ひとり登山へ、ようこそ!」
(平凡社)

「山小屋で会いましょう!」
(講談社)

「山テントでわっしょい!極める「山女子」のヨロコビ」
(講談社)

「私の場合は、山でした!
女一匹フリーター、じたばた成長物語」
(平凡社)

★最新刊★
鈴木みきの山の足あと
(山と渓谷社) 好評発売中

私の場合は、山でした!女一匹フリーター、じたばた成長物語

ブログ

鈴木みきのとりあえず裏日記

エッセイ一覧

Special Links

PAGE TOP