Miki’s Essay 鈴木みきのカナダのお山へGO! 第12回

ビクトリアまとめ

(photo:Jun Yanagisawa)

バンクーバー島の南端にあるビクトリアはBC州の州都。州最大の都市バンクーバーが州都かと思いきや、ビクトリアなのは意外ではありませんか?(ちなみにカナダの首都がオタワなのも意外と知られていないと思いますが)
1800年代前半、カナダ東部はイギリス領でしたが、西海岸の未開の地はイギリスとアメリカが自国の領土にするべくしのぎを削っていました。イギリスはビクトリアを植民地として宣言し、「ここはイギリスですから! みなさん!」と知らしめるために街の建築や文化などイギリス色を強くしたのだと言われています。船での貿易が主流だった当時、アメリカ(シアトル)とカナダ内陸部に近く、北へ向かう通り道でもあったビクトリアはBC州の貿易の中心地だったということです。

この背景をいまだに色濃く残すビクトリアの街並み、バンクーバーとは一味違う上品な雰囲気があるように思います。14年前にもビクトリアを訪れていますが、観光地でありながら繁華街のような喧騒もなく、訪れている観光客が落ち着いている印象は今回も変わっていませんでした。

ビクトリアの中心部で目を引くのは立派な州議事堂やお城のようなエンプレスホテルだと思うのですが、私の目にまず映ったのは「お花」です。「庭園の街」と呼ばれるだけあって町中にお花が溢れているんですよ。
いたるところに花壇が多いのはもちろん、建物の前に広がる庭はイングリッシュ・ガーデンに作りこまれ、街灯やちょっとした窓辺にもフラワーポットが飾られていて本当に花の香りが常に漂ってきます! でも華美でないところがイギリス流というところでしょうか。
中心部を通るたびに「きれいだなぁ」と何度でも思います。私たちはハイキングばかりしていて街中はほとんど歩くことができませんでしたが、ゆっくり港や街や住宅街を1日かけて散策してみたいなと思いました。人気の観光地「ブッチャート・ガーデン」にも足を運んでみたかったです。美しい街ビクトリア、私はとても好きです。

まるで本当のヨーロッパにいるような街並みがカナダにはいくつもある (photo:すずき)

このビクトリア滞在でいちばん私が驚いたのは、近くにシャチが泳いでいたことです。都会的な街のすぐ目の前の海でゆったりと泳ぐシャチ、なんだか不思議な気分でした。東京湾のむこうにもイルカやクジラがいるので不思議なことはないはずなのですが、間近で見たからなのでしょうか、その大きさなのでしょうか、非日常が日常的にそこにあることに胸を打たれました。
バンクーバー・アイランドと一言で言っても本当に広くて、ビクトリアのような街もあれば田舎町もあって、ストラスコナのような山々しい場所もあれば、シャチの泳ぐ海にも囲まれています。なにしろ到着して1週間、私はまだ本土には渡っていないのです。
わずか1週間ではすべてを知ることはできませんが、大自然! というのでも、大都会! というでもなく、人々の普通の暮らしと自然とが共存している島だと私は思いました。
もし、1週間のバンクーバー旅を考えているなら1~2日くらいはビクトリアに滞在してみるのもいいと思います。何度目かのバンクーバーなら、いっそビクトリアに拠点を置いてバンクーバー・アイランドやアイランドホッピングをしてみるのはオススメです。海と密接にあるカナダを体感できる旅になることでしょう。

バンクーバー・アイランド番外編

山に川に海にと欲張り旅ですが、街も外せない要素のひとつです。番外編として私たちが行ったお店をいくつか紹介します!

船頭さんに行き先を告げて運賃を払う
(photo:すずき)

まずは、個人的にビクトリア滞在でいちばん気に入ったレストランです。
観光案内所前から可愛いポンポン船(Victoria Harbour Ferry)に乗りました。これはVictoria Harbour(ビクトリア・ハーバー)を巡っている観光船、歩いて行けないこともないのですがせっかくなので乗船しました。船に乗って夕食を食べに行くなんて旅情感あります! 船からゆっくり眺めるビクトリアの街がまたいいのです。

さて、向かったのは「SPINNAKERS BREW PUB」(スピネカーズ・ブリュー・パブ)、地ビール屋さんが経営する、醸造所も併設のレストランです。私が「ビール!」「シーフード!」と騒ぐもんですから、同行者がまさにピッタリのところを探してくれました。
とりあえず「利きビール」を注文、4種類のビールが出てきました。その美しさに昼間のハイキングの疲れを忘れてしまいます。そして冷えたビールを端から順番に…3杯目にはハイキングしたことすら忘れてしまうでしょう! そして「牡蠣」、地物を頂きます。これがカナダ滞在中にしつこく食べた牡蠣のなかでナンバーワンの甘さでした。

(photo:すずき)

ここはインナー・ハーバー沿いにありますが中心部から外れているのでやや落ち着いています。地元の人も来ているような人気店。予約するのをオススメします。帰りはブラブラ歩いて中心部まで20分くらい、夜景がまた素晴らしいビクトリアです。

(photo:すずき)

次はEgg Benedict(エッグ・ベネディクト)のカナダバージョン。
エッグ・ベネディクトといえば焼いたイングリッシュマフィンの上にベーコンやハム、その上にポーチドエッグを乗せてオランデーズソースをかけるのが定番ですが、BC州ではお肉の代わりにスモークサーモンやカニをよく見かけました。スモークサーモンのエッグ・ベネディクトは隠れたマストメニューです。

付け合せにフライドポテトが写っていますが、これは塩とトマトケチャップのスタンダードなもの。ですが、カナダでは「カナダ料理」といえるフライドポテトがあります。ケベック州発祥の「Poutine」(プティン)です。カナダ全土で食べられていて、マクドナルドで以前食べたこともあります。短冊タイプのフライドポテトにチーズとグレイビーソースがかかっています。かなりコッテリ、タップリですが、やめられない、とまらない…痩せさせない気迫のあるメニュー、こちらもカナダに来たならお試しあれ!

山羊はいったいどこへやら? いたとして屋根から落ちたりしないのだろうか… (photo:すずき)

続いてはビクトリアを離れてストラスコナからビクトリアに向かう途中、ナナイモ郊外の小さな街Coombs(クームス)にあるノロさんオススメのお店。「Old Country Market in Coombs」(オールド・カントリー・マーケット・イン・クームス)は屋根で山羊を飼っているという一風変わったスーパーマーケット。

これだけでもキャッチーなお店ではありますが、なかに入ってみるとお土産物や輸入食材、おいしそうな焼き立てパンにチーズも豊富。なんだ、おしゃれで素敵なお店じゃないの!で、スモークサーモン量り売りにピアノに? カ、カツラ!!? 奥に行けば行くほど謎の品揃え。メイド・イン・カナダじゃなくても買い物心を十分にそそられるオカシナお店でありました。ちなみに屋根の山羊はおらず、ノロさん曰く「前はいっぱいいたんですがね~」いっぱいいても嫌ですけどね。

(photo:すずき)

そしてこちらはビクトリアからも近い(車で40分ほど)、先住民カウチン族(かのカウチンセーターで有名)の居留区のあるCowichan Valley(カウチン・バレー)。この街の周辺にはたくさんの果樹園が点在しています。それらの多くはブドウ。BCワインが充実していて美味しいとは紹介しましたがそのワインを作っているワイナリーがいくつもあるんです。
でも、今回紹介するのは「Cidery」(サイダリー)、耳慣れないですよね? ワインがワイナリーですからサイダリーが作っているのは「サイダー」! なんだかシュワシュワして爽やかそうですね~。連れて行ってもらう先では「Apple Cider」(アップルサイダー)を作っていて試飲もできるといいます。
「あ~知ってる! あんまり甘くないスパークリングの100%ジュースね。美味しいよね!」
「みきさん! それは『アップル・タイザー』(商品名)です!」とNさんに怒られて謎のまま「Merridale Cidery」(メリデール・サイダリー)に到着。
なんとアップルサイダーはリンゴの発泡酒、お酒なんです! 知っていました?

リンゴ園にカントリースタイルの建物、女子のNさんはトキメキが止まらないといったふうです。なかに入ると無料の試飲カウンターがあって(いちおうチップ制ですのでいくらか払います)、今度は私が止まりません! アップルサイダーってどんなお味? きっと甘酸っぱくて爽やかに違いない。トキメキながら4種類を順番に説明をされながら飲んでいきます。ゴクリ。「つ!強っお!!!」

(photo:すずき)

なんと意外なことにすごく強いお酒でした。サイダーですがむしろサイダーで割りたいくらい。衝撃の出会いです。その後4種類のなかには飲みやすい爽やかなものもあって安心しましたが、チップを払うころには気持ちよく酔っ払っていました。「口に合わないのは全部飲まないでいいですよ」とお姉さんは言ってくれましたが日本からせっかく来たサムライ、残す気は毛頭ございませんとばかりに完飲。楽しかったー!

最後はソルト・スプリング島のサタデーマーケット。
妖精探しに没頭しすぎたあまり、私たちが着くころには店じまい間近という時間になっていました。ひと通り見て回ると、地元の野菜や手作りのお菓子、石鹸にキャンドル、絵にアクセサリー、全てここソルト・スプリング発の作品が並んでいます。ヒッピー、ジプシー、ノマド、呼び方は違えど流れ彷徨ってきた人々のテイストで溢れていました。私は古着のセーターをリサイクルしたアームカバーをお買い上げしましたよ。作家さんから直接買えるというのも市場の魅力ですね。

フクロウの作品はなんと日本人のアーティストによるもの! こちらに移住して家族で暮らしているそう (photo:すずき)

(photo:すずき)

市場というのは面白いところで、その土地の暮らしがいっぺんに見て取れる場所です。売っている人も買っていく人も含めて眺めていて楽しいのです。旅先で市場が立っているとつい見にいってしまいます。海外の市場はカルチャーショックを受けることが多いので尚更に面白いのでオススメですよ。

鈴木みきプロフィール

鈴木みき
1972年東京生まれ。
山梨県・八ヶ岳南麓在住。
イラストレーター
24歳の時のカナダ旅行をきっかけに山にハマり、登山雑誌の読者モデルや山小屋アルバイトを経て、登山系イラストレーターとなる。

著書

「悩んだ時は山に行け!」
(平凡社)

「あした、山へ行こう!」
(講談社)

「ひとり登山へ、ようこそ!」
(平凡社)

「山小屋で会いましょう!」
(講談社)

「山テントでわっしょい!極める「山女子」のヨロコビ」
(講談社)

「私の場合は、山でした!
女一匹フリーター、じたばた成長物語」
(平凡社)

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