Miki’s Essay 鈴木みきのカナダのお山へGO! 第17回

マウンテンバイクでGO! ~BC州滞在記 その12~

(photo:Jun Yanagisawa)

ヴィア・フェラータで岩をヨジヨジ登り氷河を歩き、緊張が冷めやらぬままゴンドラで下山。いつものように賑わっているビレッジを歩いていると、先ほどまでピッケルを持っていたとは信じられない気分です。

(photo:すずき)

そんな興奮のなか向かったのはレンタルバイク店、お次はマウンテンバイクに挑戦です。ウィスラーには、マウンテンバイクやウォーキング&ハイキングの専用トレイルがたくさんあり、地図にも載っています。マウンテンバイクは地元の住民にも親しまれていて、通勤や通学に利用している人もかなり多いと聞きました。私も東京でアルバイトに行くときに自転車を利用していたこともありましたが、車や電車(ウィスラーにはありませんが)よりも機動性に優れ、パッと自分の判断で道を変えられたり、はたまた遅刻するもしないも頑張りしだいという、通勤に遊びの要素が加わる気がします。毎日暑かったり寒かったりするものの自転車通勤はやめられないものでした。さらには運動にもなりますもんね、気持ちがいいものです。しかし、私が乗っていたのは「ママチャリ」。マウンテンバイクはそんなに経験がありません。しかも乗ったことがあっても公道程度で、本来の力を発揮するマウンテンでは数年に1度あるかないか、という感じです。ジュンさんに聞くと、子供でも行くコースだから心配はいらないとのこと。自転車は嫌いじゃないしきっと楽しいでしょう!

外国で「マンガ」「ハラジュク」が通じるように「ヤマガール」も通じる日も近い!?(photo:すずき)

ビレッジ内にはたくさんのレンタルバイク店があります。観光でウィスラーを訪れても、自転車があれば行動範囲はぐっと広くなります。1日や半日、数時間とレンタルできるので、ちょっとした気分転換にもちょうどいいかもしれませんね。私たちがあらかじめ予約してあった時間に行くと店の外にバイクが用意されていました。なんで私の自転車か分かったかというと…自転車に「Yamma-girl」の名札が! 取材タイトルに「山ガール」と付いていたので現地のコーディネーターさんが取材内容を伝えてくれていたと思うのですが、目に入った瞬間にこれにはかなり驚きました。レンタル店の方が「何のガール?」と思っていたのか気になるところです…。

ヘルメットは大事!

店内で受付を済ませヘルメットもお借りします。日本でヘルメットをかぶって自転車に乗っている人は半分に満たないと思いますが、こちらでは法律で義務付けられているので100%の着用率です。自転車に限らず多くのスポーツにヘルメットはセットという印象です。私も日本でかぶることは皆無でしたが、ヘルメットをかぶるだけで安心感があるものでしたね。気持ちの問題ですがいつもより思い切って挑める気にもなりました。公道を走るにしても万が一のときはあるに越したことがないと思うので日本でももっと普及するといいのになぁと思いました。
私の愛車となるのは「ROCKY MOUNTAIN」というメーカーのマウンテンバイクです。もともとカナダのメーカーですから、こちらでは国産車ということになります。なんだかいいじゃないですか、発祥の国で乗れるというのは! 意気揚々と漕ぎ出す私でありました。

まず向かったのはLOST LAKE(ロスト・レイク)、ビレッジから程近いので人気のある観光スポットです。森のなかの平らなトレイルは舗装されていたり、ウッドチップだったり、砂利であったり、慣れないマウンテンバイクのポジションと変化のある道にふらつきながら足慣らし。トレイルにはサイクリングしている人、犬の散歩をしている人、ジョギングしている人…と老若男女で賑わっていました。

路面に変化があって、慣れない私にとってはこれだけでアドベンチャー。途中には道標や地図が設置してあるので初めてでも安心 (photo:すずき)

ほどなくロスト・レイクに到着。とてもよく整備されていて美しく、日常に散歩するには贅沢な場所です。日本人向けのハイキング・ツアーでは、森のなかの湖を1周できるトレイルとして定番&人気のコースなんだそうですよ。湖畔ではみなさん思い思いにくつろいで過ごしています。午後の柔らかい日差しが水面に反射して、それを眺めていると1日の疲れが癒えていくようです。水の風景というのはそういう作用があるような気がします。

季節や時間で変化する彩りを味わいに毎日でも通ってしまいそう
(photo:すずき)

しかし、忘れてしまいそうでしたが私たちのサイクリングは始まったばかり。マウンテンバイクも好き! というジュンさんはコースを熟知していて地図や看板も見ずに案内してくれます。ロスト・レイクに近い広いメイントレイルから未舗装の山の道に突入です。未舗装といっても、むき出しの山道というわけではなく轍のついたトレイルなのですが、私にとっては十分にマウンテンバイクの世界です。岩や根っこを越えながら「ヒャッ!」「オオッ!」とおっかなびっくり進んでいきます。先ほどとはうって変わって道幅も狭く、アップダウンもあります。息も上がり汗が出てきました。

私はこういうアドレナリン系のスポーツには縁遠く、自分には向いていないと思っているのですが、すこーしですがアドレナリンが放出しているような快感を発見したかも! まるでジェットコースター! と自分では感じていましたが怖さが先に立ちスピードは抑え気味…自分のポテンシャルなんぞ期待できません。コースの途中にはスリリングな木道や橋のエキストラコースが用意されていてチャレンジすることもできます。私は無論、遠慮させていただきましたがジュンさんはスイスイとこなします。そんなジュンさんも「昔、落ちて怪我したよ!」と明るく言っていました…。

トレイル上に設置されていた「ワンちゃんのウンチ袋」。犬連れの多いウィスラー、多くの散歩姿を見かけました。そして隣には回収ボックスも完備。これなら「落し物」を面倒がらず拾って捨てていこうという気になるのではないかな。このおかげか、ウンチを道端で見かけることはありませんでした。袋に描かれたワンちゃんのイラストも可愛い!

コース上での最高地点あたりで眼下にビレッジと後ろのウィスラーマウンテンの山肌が見えました。意外と登ってきたんだ…と息も絶え絶えに思います。これまで私が乗ってきた自転車、マウンテンバイクは「移動」手段でしたが今日のマウンテンバイクは「遊ぶ」手段という感じ。スキーやスノーボードにも近いのかなと思いました。ウィスラーは山に囲まれて一年中、山と遊べるフィールドです。カナディアンは山も川も湖もキャンプも分け隔てなく楽しみます。そしてそれを日常に取り入れるのがとても上手なんですよね。遊ぶフィールドが足の届く範囲に整っているウィスラーは、特にその傾向が強いように感じました。山の遊び人たちが集うリゾート地というのが私のウィスラーの印象です。

夏は日が長いとはいえ、もう18時過ぎ、一気に下ってメインのトレイルへ戻りました。急に人の往来に戻りました。メインから反れたのはものの1時間ないほどでしたし、地図にも書いてあるコースでしたがずいぶんと深山にいたような、そんな錯覚。この感覚をこんなに気軽に味わえるなんてウィスラーならではの魅力なのでは?

(photo:すずき)

来たときとは別の道で遠回りをしてビレッジに戻ります。時間帯もあったのかもしれませんが、人も少なく景色を見ながら舗装路をスイスイとサイクリング。道の脇の草が揺れ、雲の動きも見えます。なにも考えずキレイだなぁと思って風に乗って漕ぐのは、岩登りに始まった今日のクールダウンにはもってこいでした。明日からは別の街、たっぷり遊ばせてもらったウィスラーとはこれでお別れです。それにしてもいくつのアクティビティがこの街にはあるのでしょう? 高い山々はとうとう拝むことも叶いませんでしたが、アウトドアライフを満喫できました。山を歩けなかったおかげで普段の私ではやらないようなスポーツに挑戦して新しい自分も発見したような気がします。

地ビールの利きビールに挑戦。けっこうクセが強いもの揃い。私はコカニーのほうが好きだな!
(photo:すずき)

バイクをレンタル店に返し、そのままの足でレストランへ直行、まだ明るいうちに地ビールをグググッとからだに入れる。実はフィールドとビールとホテルが車移動なしで繋がるのは広いカナダでは滅多にないことなんです。これもウィスラーの醍醐味と強く言えるでしょう! ウィスラーに乾杯!

whistler style

鈴木みきプロフィール

鈴木みき
1972年東京生まれ。
山梨県・八ヶ岳南麓在住。
イラストレーター
24歳の時のカナダ旅行をきっかけに山にハマり、登山雑誌の読者モデルや山小屋アルバイトを経て、登山系イラストレーターとなる。

著書

「悩んだ時は山に行け!」
(平凡社)

「あした、山へ行こう!」
(講談社)

「ひとり登山へ、ようこそ!」
(平凡社)

「山小屋で会いましょう!」
(講談社)

「山テントでわっしょい!極める「山女子」のヨロコビ」
(講談社)

「私の場合は、山でした!
女一匹フリーター、じたばた成長物語」
(平凡社)

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私の場合は、山でした!女一匹フリーター、じたばた成長物語

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