Miki’s Essay 鈴木みきのカナダのお山へGO! 第21回

グラウス・マウンテン山頂は盛りだくさん!~BC州滞在記 その16~

(photo:Jun Yanagisawa)

ゴンドラからの眺め。別の日に撮影したものです

グラウス・グラインドをゼイゼイと登りきった私たち、せっかくだから観光スポットになっている山頂周辺もお散歩することに。15年前の記憶はほとんどなく、5月だったと思うのですが「雪があった」というくらい…(ちなみに冬期はスキー場もオープン)。こんなにモダンなゴンドラ駅だったかしら? 記憶を辿りながら歩きます。グラウス・マウンテンの山頂は標高約1250m、ゴンドラ駅からさらにチェア・リフトを利用して上がることもできます。晴れていればバンクーバー市街はもちろんガルフ海峡が見渡せるはずなのですが、15年前もそしてこの日もあいにくの曇天。うらめしいったら…。

人の流れになんとなく乗って歩いていくと、道の脇に大きな丸太を掘った彫刻が並びます。それは人だったり動物だったりするのですが、この大きさをこんなに細かく掘っていくなんて、なんという技! その大きさのわりに観光客に見向きもされず通り過ぎられていて少しかわいそう。とても立派で迫力のある作品なので私は一体一体じっくり見て歩きましたよ。開拓時代や先住民の歴史がモチーフになっていて見ごたえ十分です!

ランバージャックは小さくて見にくいですが、ご覧ください! 悪天のなか、この人気!!

感心しながら歩く先がなにやら賑やか、私たちも人垣に加わってのぞいてみます。そこにはステージがあり「ランバージャック・ショー」をやっていました。「ランバージャック」とは「木こり」のことで、カナダの観光地やイベント会場ではけっこうお馴染みのショーなんです。木こりが丸太の早切り対決をしたり、丸太早登り対決をしたりします。先ほど見たような彫刻をその場でチェーンソーを使って作ったりもするんですよ。それをコメディタッチで見せるのですが、エンターテインメント性も高くて途中から見ていた私もグイグイと引き込まれてしまいました。会場を巻き込んでお客さんはドッと湧いたりワッと驚いたり、ちょっとした一体感を感じました。カナダの伝統芸といってもいいのかもしれません。思いがけず楽しみ大満足。

そこからまた奥に足を延ばすと、なんと今度は熊が!! 熊がいました!!! これは私にとってはとてもショッキングなことで、まさか初めてのグリズリーをバンクーバーで目撃することになるとは!! ずっと憧れていたグリズリーが目の前に~~っ! あ、言い忘れましたが檻の中のグリズリーです。しかし「檻」というより「柵」、「こんな感じでいいのかなぁ?」というくらい近いんです。手を伸ばしたら届きそうなんです。そこへ「ノッシ、ノッシ…」と現れたグリズリーに唖然。「デ、デカイ…」。グリズリーは日本名だと「ハイイログマ」。大型のヒグマの仲間です。北アメリカに多く生息していて日本にはいません。ウィスラーで見かけたクマは「ブラックベア(アメリカクロクマ)」という比較的おとなしい小型のクマなんです。グリズリーはカナダの生態系のトップといっても過言ではないほど強いクマの種類、憧れているというのは「会いたい」ということではなく(偶然会ってはなりません)、どこかで遠くからとか剥製でもいいので一度はその大きさや存在を感じてみたい動物でした。

本物だ~~!!! どう猛のなかにも愛嬌があるのが熊の不思議なところですね(photo:すずき)

ところが本物といったら「デカイ」! 顔だけでブラックベアの全身くらいにも見えます。爪なんて私の指より長く太い! 檻に入り飼育されているとはいえ、その威厳たるやもう本当にすごい。カナダの原野でこんな大きな動物が歩いていると想像すると私の興奮は急上昇。檻に沿って歩くグリズリーをストーカーのようについて歩きました。こんなに近寄れる機会はなかなかないでしょう。感動の出会いです。

ほかにも鷹のショーやジップライン(ワイヤーを使ったターザンごっこのようなアクティビティ)もあったし、それに狼もいたらしいのですが、私がクマを執拗に見続けたためタイムアウト! お腹も空いたのでゴンドラ駅にあるレストランに向かいます。広いテラス席があるフードコートタイプのレストランはとても賑わっていました。私はワークアウト後なので少しヘルシーぶってサンドウィッチにサラダにスープなどをチョイス。景色が見えれば最高だったと思うのですが残念ながらガスのなか…それでも運動した充実感とテーマパークに来たような高揚感で高ぶっていたので、あまり気にしていませんでした。これで景色が一望できていたら、私はどうなっちゃったでしょう?

ガイドブックやポスターで見ると、なるほど素晴らしい景色。夏は夜景を見ながらレストランディナーなんて楽しみ方もあるみたい…。グラウス・マウンテンは、東京でいうと高尾山のような山かなとも思いました。高尾山も都心から近く、「都民の山」として誰でも自然と親しめるような工夫をしている山です。ちょっとしたテーマパークのような薬王院もあるし、景色を楽しむレストラン(ビアガーデン)もあります。ケーブルカーで登ることもできれば、登山道で歩くこともできる…うん、うん、かなり近い。あとは登山道のひとつにタイマーを設置すれば…なんて冗談はさておき。誰でも訪れることができて、その人なりの楽しみ方ができるという意味でとても似ている山だと思いました。
便がよく人が多い山は野性味には欠けるかもしれませんが、逆にいえば気負いが少なく通える山だと思います。どんなに整備されていても山のなかにいるのは空気が違います。こういう身近な山や自然を有効に活用してリフレッシュするのが上手なのがバンクーバーっ子なのかな! 私たちももっと大らかにそこにある身近な自然を楽しむ術を取り入れたいですね。

鈴木みきプロフィール

鈴木みき
1972年東京生まれ。
山梨県・八ヶ岳南麓在住。
イラストレーター
24歳の時のカナダ旅行をきっかけに山にハマり、登山雑誌の読者モデルや山小屋アルバイトを経て、登山系イラストレーターとなる。

著書

「悩んだ時は山に行け!」
(平凡社)

「あした、山へ行こう!」
(講談社)

「ひとり登山へ、ようこそ!」
(平凡社)

「山小屋で会いましょう!」
(講談社)

「山テントでわっしょい!極める「山女子」のヨロコビ」
(講談社)

「私の場合は、山でした!
女一匹フリーター、じたばた成長物語」
(平凡社)

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