Miki’s Essay 鈴木みきのカナダのお山へGO! 第31回

一路、ロッキーマウンテンへ

(photo:Shinichi Yajima)

成田空港から約9時間半、カルガリー空港に到着しました。日本との時差はサマータイムが使われている今でマイナス15時間(冬季は16時間)、日付変更線を越えるので時間をさかのぼって到着です。例えば日本が10月1日の正午ならカルガリーは9月30日の夜9時ということになります。
時差って日本人には馴染みがなく慣れないものですが、広いカナダでは国内に6つの時間帯があり、西のバンクーバーと東のニューファンドランド島では4時間半もの時差があります。おまけにサマータイムというものもあり、夏の間は時計を1時間進めないとなりません。本当にややこしい! 時計を合わせることからカナダ旅行は始まるのです。以前は海外へはデジタル時計ではなく操作が単純な針の時計にしていましたが、最近では携帯電話が優秀で、到着空港で電源を入れると勝手に現地時刻を表示してくれます。(おまけに横には日本時間まで)。時間の逆算に弱い私、普段は便利になり過ぎるのも、と思っているのですがこういう時は本当に助かる機能です。

カルガリーは昨年訪れたBC州のお隣、アルバータ州にある人口100万人の都市です。冬季オリンピックが開催されたことがあるので、どこかで聞いたことある地名かもしれませんね。カナディアン・ロッキーに向かうのならば、このカルガリー空港を使うのが便利です。
とは言うものの、空港に降り立つとそこは一面のプレーリー(平原)、山なんてはどこにあるの? という景色が広がっています。カルガリーから東に、つまりロッキーとは逆方向に向かって行くと、このようなプレーリーがどこまでも、どこまでも続きます。
空港で今回の取材をアテンドしてくださる、カナディアン・ロッキーのガイド会社ヤムナスカ・マウンテン・ツアーズのNさんと合流し、北米サイズの大きいバンに乗り込みロッキーに向かうことになりました。

一口にロッキーと言っても、それは南北に長大な山脈で国境を越えてアメリカにまで及びます。そのカナダ側にあたるのが有名なカナディアン・ロッキー。山の稜線はBC州とアルバータ州の州境になっています。バンフ、ジャスパー、ヨーホークートニーの4つの国立公園をはじめいくつかの州立公園が集まり、一帯は世界遺産としても登録されています。山脈のまっただ中をハイウェイが走り抜けており、それによって世界中から観光者が訪れることができ、その素晴らしい山岳風景を目の当たりにできます。

私も16年前、カナダ東部から長距離バスで延々と、何日もかけてプレーリーを越えてここにやってきました。そこにこんな山脈があるとは狭いバスの席では思いもつかないものでした。プレーリーしか見ていなかったせいもあるでしょうが、まさに世界が急変したようなそんな驚きがありました。
「スイスを50個くらい1ヶ所に集めたようだ!」とマッターホルンを初登頂したウィンパーが感嘆したとも言われています。その後の私の人生を変えたカナディアン・ロッキー、16年ぶりの再訪です。

平原から山に入る

カルガリーからハイウェイを西へ、しばらく走るとフロントガラスの向こうに横たわる山並みが見えてきました。
「山だ、山が見えた!」私が興奮して言うと「あれがカナディアン・ロッキーですよ」とNさんが冷静に告げました。あんなに小さかったかなぁ? と半信半疑でしたが、それもそのはず、ここは見渡す限りのプレーリー「まだ遠いだけ」だったことをすぐに知ることになりました。

1時間後、遠かった山が砦のように立ちはだかってきました。日本の山ですと、裾野があって徐々に山のなかに入っていくような感覚がありますが、カナディアン・ロッキーは線を引いたように「ここまでが平原、ここからが山」と分かれているような感覚。バンが垂直の城壁のような山のなかへ速度を落とさず入っていきます。
「始まった!!」そのあとは口はあんぐり、出てくる言葉は「すごい!」「でっかい!」の繰り返し。16年ぶりにして初心のままの感動「そう、そう、これだよ!」、いやそのときより感動は深いかもしれません。

(photo:すずき)

それでもこれはまだ序の口、ロッキーの入口にある街キャンモアから先がバンフ国立公園です。そして私たちの今日の目的地はヨーホー国立公園、ここからさらに1時間半はかかります。公園内には商店も限られているので、途中キャンモアという街に立ち寄って必要なものを調達。ちょうどランチタイムにもなったので何かテイクアウトして景色のいい場所で食べることになりました。
私の大好きな北米らしい大型のスーパーでランチを物色…目移りしてまったく決まりません。あれもこれも全部食べたい! 結局、時間がなくなって人が手に持っているものを真似っ子…スーパーのたった1つの棚しか見ていないというのに優柔不断には手に負えない品物の多さです。

バンに乗りNさんオススメの公園でピクニック・ランチ。地元の方なのか多くの人が思い思いに過ごしています。こんな絶景が家の裏にあったらどうしよう? 初日だというのに私の興奮はいい具合に沸点近く…先が思いやられるのでありました。

鈴木みきプロフィール

鈴木みき
1972年東京生まれ。
山梨県・八ヶ岳南麓在住。
イラストレーター
24歳の時のカナダ旅行をきっかけに山にハマり、登山雑誌の読者モデルや山小屋アルバイトを経て、登山系イラストレーターとなる。

著書

「悩んだ時は山に行け!」
(平凡社)

「あした、山へ行こう!」
(講談社)

「ひとり登山へ、ようこそ!」
(平凡社)

「山小屋で会いましょう!」
(講談社)

「山テントでわっしょい!極める「山女子」のヨロコビ」
(講談社)

「私の場合は、山でした!
女一匹フリーター、じたばた成長物語」
(平凡社)

★最新刊★
鈴木みきの山の足あと
(山と渓谷社) 好評発売中

私の場合は、山でした!女一匹フリーター、じたばた成長物語

ブログ

鈴木みきのとりあえず裏日記

エッセイ一覧

Special Links

PAGE TOP