Miki’s Essay 鈴木みきのカナダのお山へGO! 第42回

アイスライン・トレイルで見かけた高山植物たち(1)

(photo:すずき)

私がアイスライン・トレイルを訪れたのは9月の上旬、カナディアン・ロッキーでは夏は終わり、秋へ加速していく時期です。カナディアン・ロッキーの高山植物の花の最盛期はミッドサマーになります。日本でも雪が積もっている期間の長い北海道の高山植物は、本州に比べて花期が短いですよね。環境が厳しいところほど植物は子孫を残すために、いい時期に集中して花を咲かせるのです。
私は山歩きに彩りを添え、ときに励ましてくれるような小さくともたくましい高山植物が好きです。そんなに詳しいとも言えませんが歩きながら花を見つけると嬉しいです。「カナディアン・ロッキーにはどんな花があるんだろうなぁ。けれど、シーズンは終わってしまったしなぁ」、と実はあまり期待しないように出かけたのです。ところが、とんでもない! たくさんの花に出会うことができたので今回紹介したいと思います。

歩き始めの樹林帯、最初に現れたのは「イエローコロンバイン」、オダマキの仲間です。日本だと赤だったり紫だったりを多く見かけますが、カナダでは薄い黄色。レモンクリームみたいでとてもいい色ですね! そういえば、日本ではピンクのカタクリもカナダでははっきりとした黄色です。媒介する虫の種類に関係があるのかしら? 面白いですね!

次は「コモンヘアベル」、キキョウ科のホタルブクロの仲間です。おそらくイトシャジンだと思います。紫の花が華奢な茎でゆらゆらと風になびいていて儚げで素敵でした。

コモンヘアベル

イエローコロンバイン

森林限界を出ていちばん咲いていたのが「ホワイトドライアド」、日本でいうチョウノスケソウです。チングルマによく似ていますが、チョウノスケソウのほうがさらに厳しい環境を好むので日本の高山でもチングルマほど見かけることができません。でも同じバラ科の親戚です。ちなみにカナダにチングルマはいないんですよ。
私はこんなにたくさんチョウノスケソウを見たのは初めてでした。アイスライン・トレイルではいたるところにあって、その環境の厳しさを物語っていました。

続いては、「イエローマウンテンサクサフリッジ」、ユキノシタ科の仲間です。這うようにありました。葉っぱが肉厚なのが可愛いです。

イエローマウンテンサクサフリッジ

ホワイトドライアド

ワイルドヘリオトロープ

小さな小さな花が集まっている「ワイルドヘリオトロープ」、オミナエシ科の仲間です。咲き始めはラベンダー色だとか。ヘリオトロープ(ムラサキ科)というと香水の原料にもなるくらい甘い香りのはずですが、こちらワイルドになると晩夏になると臭い匂いを放つと言われています。別の種類なんでしょうか? 嗅いでみればよかったです!

そしてこちらはカナダのお山ではおなじみと言ってもいい「インディアンペイントブラシ」、ゴマノハグサ科です。お花に見える部分は苞葉といって葉っぱなのですが、これがさまざまな色合いを見せてくれるのです。バンクーバーで見たときは真っ赤! でしたし、スタンレー・グレイシャーで見たときはピンクでした。どれも同じ花なのですが個体によって色づきが異なるので、歩くたび新たに発見する色があるほどです。本当に名前の由来の「絵筆」みたいですよね! アイスライン・トレイルではこんな色…ばかりではなかったのですが、どうやら私はこのアンティークの布地を連想させるような色が好きみたいで、写真を見たら似たり寄ったりになっていました(笑)。
1枚、違う花と一緒に咲いているのは「マウンテンファイヤーウィード」、スタンレーグレイシャー・トレイルで紹介したヤナギランの高山種でヒメヤナギランです。背丈も10~20センチくらいで小さいです。

インディアンペイントブラシとマウンテンファイヤーウィード

インディアンペイントブラシ

レッドステムサクサフリッジ

ランチ休憩をとった場所で見つけたのは「レッドステムサクサフリッジ」、ユキノシタ科の仲間です。前出の「イエローマウンテンサクサフリッジ」と同じ仲間ですが、趣がまったく違いますね。こちらは背も高く20~30センチくらいあります。氷河からの融け水が流れ溜まっていたところに咲いていましたよ。赤い茎がなんともオシャレ! 花期としては終わりかけで種にあたる赤い部分が膨らんで目立っています。

つづきは次回へ…。

※参考文献「カナディアンロッキーの高山植物」秋山裕司・著(クラックスパブリッシング)

鈴木みきプロフィール

鈴木みき
1972年東京生まれ。
山梨県・八ヶ岳南麓在住。
イラストレーター
24歳の時のカナダ旅行をきっかけに山にハマり、登山雑誌の読者モデルや山小屋アルバイトを経て、登山系イラストレーターとなる。

著書

「悩んだ時は山に行け!」
(平凡社)

「あした、山へ行こう!」
(講談社)

「ひとり登山へ、ようこそ!」
(平凡社)

「山小屋で会いましょう!」
(講談社)

「山テントでわっしょい!極める「山女子」のヨロコビ」
(講談社)

「私の場合は、山でした!
女一匹フリーター、じたばた成長物語」
(平凡社)

★最新刊★
鈴木みきの山の足あと
(山と渓谷社) 好評発売中

私の場合は、山でした!女一匹フリーター、じたばた成長物語

ブログ

鈴木みきのとりあえず裏日記

エッセイ一覧

Special Links

PAGE TOP