Miki’s Essay 鈴木みきのカナダのお山へGO! 第43回

アイスライン・トレイルで見かけた高山植物たち(2)

(photo:すずき)

さて、再び歩き始めたらこんなお花畑に出会えました。正しくはお花ではありませんが「ウェスタンアネモネ」の種です。花自体は観賞用でよく見かけるド派手なアネモネとは別人の白~クリーム色なんだそう。でも花が終わったあとの姿が可愛いじゃありませんか! この時期で私はラッキーだったと思っています。

ウェスタンアネモネ

そして同じ場所に咲いていたのが「ウーリープッシートゥ」、「モコモコした仔猫のつま先」というものすごく可愛い名前のお花です。エゾノチチコグサの仲間です。なんだか名前がやたらに気に入ってしまったお花で、悶えながら何枚も写真を撮っていましたね。(だからほとんどブレてる)。お花だけではなく全体が柔らかい産毛に包まれていて触り心地も動物みたいです。愛おしい。

ウーリープッシートゥ

アペタラスキャンピオン

アイスライン・トレイルも後半、だいぶ足が疲れてきたところで見つけたのが「アペタラスキャンピオン」、ナデシコ科のタカネマンテマです。これ、本当によく見つけたと思うくらい岩の影にひっそり咲いていました。とくに風が吹きさらしの場所だったので、背丈は10センチないくらいに小さい株でした。日本でもなかなか見られる場所がないお花です。オシャレすぎる! テンションがググッと上がって疲れも吹っ飛びました。ちなみに英名は「アルパインランタン」、これもいいですね。

アルパインホークスビアード

標高もだんだん下がってきて瓦のような岩がガラガラしているところで見つけました。「アルパインホークスビアード」、キク科です。誰かに踏み潰されたのではないのです、これで正解なのです。ガイドNさんにあとで写真を見せたら「これば珍しい!!」と褒められ(?)ました。Nさんでもなかなか出会えないお花だそうです。なぜなら育つ場所が限られていて、数も多くないそう。それにこんなにへばりついていますからね、歩いている真下にないと気づくのも難しいでしょうね。私がなぜ見つけられたかというと、変わった柄の瓦のような岩を探してウロウロ、人の後ろを歩いていなかったから、かな…。

ようやく樹林帯に戻ってきました。木と緑を見ると何故かホッとします。人の住める場所に帰ってきたような安堵感があるのかもしれません。ここにもウェスタンアネモネの群落が。黄色い花はウサギギクの仲間でしょうか? 土があるというだけでこんなに豊かな植生が生まれます。

翌日はずっと森歩きでした。標高が下がったので上よりも多くの花が咲いているかと思いましたが、逆でした。チョウノスケソウも綿毛になっていました。雨に濡れた毛が頼りなくていいですね。
きのこも好きなのでよく探して歩いているのですが、こちらもほとんど出会えませんでした。日本ほどカナダではきのこに興味はないようです。一般の人が野生のものをとって食べるなんてことはあまりしないそうですよ。(でもマツタケが多いんですよ、カナダ)。
その代わりというわけではありませんが、突然カエルを発見。道すがら会ったテント泊の学生さんたちが手に持ってました(笑)。せっかくなので持たせてもらいました。ズシリと重かった!

ツインフラワー

最後に「ツインフラワー」、スイカズラ科のリンネソウです。もう旅も終盤、あとは平坦な林道を歩くのみという場所、薄暗い森のなかにじっと咲いていました。本当に小さくて背丈は3~5センチほどです。お花なんてミニチュアみたい。日本では別名「メオトバナ」とも呼ばれます。質素ですが幸せなご夫婦といったイメージでしょうか。お互いにそっぽ向いているのは気になるところですが(笑)。

いかがでしたか? 日本でも見かけるものもあれば、見たこともないものもありますね。高山植物は厳しい環境のなかで独自の進化を遂げていますが、どこかでは繋がっている親戚同士です。自分の知っているあのお花がカナダでは(日本では)どうしてこうなったんだろう? なんてことも想像してみるのも楽しいかもしれません。どんな環境でもたくましく生きていこうとする植物の世界はとても興味深くて、教えられることも多いです。正しい名前なんて覚えなくたっていいんです。可愛いと思った花は「私が可愛いと思った花」でいいと思います。咲いている花を一度しゃがみこんでよーく観察してみてください。不思議がいっぱいですよ!

※参考文献「カナディアンロッキーの高山植物」秋山裕司・著(クラックスパブリッシング)

鈴木みきプロフィール

鈴木みき
1972年東京生まれ。
山梨県・八ヶ岳南麓在住。
イラストレーター
24歳の時のカナダ旅行をきっかけに山にハマり、登山雑誌の読者モデルや山小屋アルバイトを経て、登山系イラストレーターとなる。

著書

「悩んだ時は山に行け!」
(平凡社)

「あした、山へ行こう!」
(講談社)

「ひとり登山へ、ようこそ!」
(平凡社)

「山小屋で会いましょう!」
(講談社)

「山テントでわっしょい!極める「山女子」のヨロコビ」
(講談社)

「私の場合は、山でした!
女一匹フリーター、じたばた成長物語」
(平凡社)

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